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Sunny-sideupはお好き?

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写真: Sunny-sideupはお好き?

写真: 2014暑中見舞 写真: 誰が為に弔鐘は鳴る?

black widow:0008 <サニーサイドアップ(卵の目玉焼き、片面焼き)はお好き?>(注意!今回、物語に多少残酷な場面が含まれています!)

 目黒トンネルの襲撃から25分後…多摩川沿いの某所。

 <グシャ!>薄暗闇の中で、乱暴にコンクリートの床の上に投げ出され、右肩から横倒しの姿勢で身体をぶつけた痛みに、それまで後頭部を強打されて気を失い、後ろ手に縛られたまま拉致されて来た西本浩一は、大きな声で、まるで横腹を蹴り上げられた女のように悲鳴を絞り出した。「…!う、うぐぐぐっ…」しかし、絞り出したはずの悲鳴はタダの呻き声にしか聞こえなかった。どうやら口には太い革紐を使った猿ぐつわがハメられているようだ。口の中に溜まった唾液に咽せた西本は、逆海老に反り返った形のままゴホゴホと音を立てて咳き込んだ。唾液をコンクリートの床に撒き散らし、汗と涙と鼻汁で自分の顏をグシャグシャに汚れさせた。後ろ手に手首を縛られ、膝から腿に向かって、背中で二つ折りにされた足首も縛られ、後ろで手首と足首をキリキリと繋がれているので、横倒しのまま床の上でバタバタと壊れたオモチャのように跳ね回る事しか出来ない…
 次の瞬間、カチッとスイッチが入れられた音と共に部屋の天井に付けられた薄暗い裸電球が点灯され、西本はそこが二十畳ほどの四方をコンクリートで覆われた倉庫のような場所だと気が付いた。西本が右側を床につけて前方を向いていた頭を左上に捻ろうとした時、その左上から頭をいきなり踏みつけられた。激痛が西本を襲った!踏みつけたのは革靴の底であった。この凶暴な相手は西本の頭を踏みつけたまま、手にしたガーバーのホールディングナイフで革紐の猿ぐつわを切断した。
 「西本浩一。一度だけ訊く…御影真吉が隠れている場所はどこだ?」頭の上から響いて来たのは、何の感情も交えないと分かる程、冷たく鋭い女の静かな一言であった。
「畜生!ふざけるな、貴様。オレを誰だか分かってるのか!オレは、都内に、その名前を知らぬ者はいないと怖れられてる新東京連合のナンバー2、西本浩一だぞ!」…自分達を襲撃し仲間を皆殺しにして自分を拉致したのが、たった一人の女だと知った西本は吠えた!
 その途端に頭を踏みつけていた革靴に恐ろしい程の圧力が掛かって、西本は吠え続けるのをヤメた。喚き声は悲鳴に変わっていた。「ぎゃあああ!止めろぉお、バカ野郎!」
 また、西本の頭上から冷たく静かな声が降り注いだ。「質問してるのは私だ…西本浩一。お前はサニーサイドアップ(卵の目玉焼き、片面焼き)は好きか?」
 口から血の混じった唾を吐き出しながら、西本は呻いた。
「…何?何の事だか全然、わからねえよ。」
 悪態をヤメない西本浩一の反応を見たブラックウイドーは話し続けた。「次に私が質問する時、お前の耳は聞こえなくなっているだろう。だから、私は質問する時にお前の頭を小突いて合図するから、答える気になっていたら大きな声で返事をしろ。お前がいくら喚いても外には何も聞こえない。…質問の中味はさっきと同じだ。御影真吉は今、どこにいる?」
 その言葉が終わった次の瞬間、ブラックウイドーは腰の後ろに付けていたヒップホルスターから引き抜いたオートマティックピストル<ストライク45カスタム>を、踏みつけている西本の頭の周辺の床に4発、無造作に撃ち込んだ。<バ、バンッ!>あまりの素早さに撃たれた弾丸は4発なのだが、その発砲音は2発にしか聞こえない!ウイドーの予告の通り、間近で発砲された西本の耳は一時的に聴力をなくしているようだ。顔つきはショックの為か痴呆化している。

 続け様に発砲された<ストライク45カスタム>のバレルはヒートアップ(過熱)で、うっすらと赤黒く先端に付けられたコンペンセイター(銃口の部分に付ける反動抑制効果のある重り。これを装備する事で銃口の跳ね上がりを押さえる為、腰だめでの連続発砲時などに効果がある。ウイドーの銃は短銃身でコンパクトなコルトデトニクスをベースにしている為、取り回しはしやすいはずだ。)が焼けて変色している。

 ブラックウイドーは、その焼き付いた先端をいきなり踏みつけている西本の左側の横面に押し付けた。まるで肉を叩いて伸ばすハンマーの断面に似た銃の先端は顏の左目に押し付けられた!「ぐわぁあああ!」焼けた銃口が左目を焼き潰した…これには、さすがの西本も挫けた。「やめてくれぇ!これ以上やられたら失明する!」悲鳴を上げた瞬間、踏みつけていた革のブーツの底が上げられ、後頭部を小突かれた…
「わかった、言うよ!…御影くんは今はフィリピンに隠れているが、明日、飛行機でタイのバンコクに移る事に決まっている!」
 泣き声と悲鳴の混じった西本の答えを聞いたウイドーは、これが真実の自白だと直感した…
 「おい、もういいだろっ。早くオレを病院に連れて行きやがれ!」床に横倒しにされたまま西本浩一が喚いている。

 リベンジャー(闇の復讐請負人)ブラックウイドーは、その姿を見ながら呟いた…「お前達に殺されたり、片輪にされた被害者たちも、みんな同じように悲鳴を上げていた事だろう。お前の判決は既に確定されている…それは死刑だ!」新東京連合ナンバー2、西本浩一の頭部に狙いを付けたブラックウイドーは<ストライク45カスタム>の引き金を2回、続けざまに絞った。
<バ、バンッ!>地下倉庫に銃声が響いた…

(1 ※ストライク45カスタムについては実銃の存在を確認していませんが、その独創的なコンセプトが気に入り、創作上で採用しました。筆者としては実際に実現可能なカスタムだと考えております。)
(2 ※今回、劇中に登場するNOLINCO(正しくはNORINCO:中国北方工業公司)製のコピー版トカレフの実銃型取りデータを入手したので、背景に使用しました。元のトカレフTT33と比較した印象は、銃の外観からシャープさや丸みなどのラインが崩されており、本来無かったセイフティが付けられ、使用弾丸も入手しやすい9mmに変更されている。おそらく手に入りやすい弾丸を使える事で<銃の拡売>を狙ったものと。この銃のオリジナルの弾丸は7.62mm×25である。弾速、貫通力に優れた銃であった。ボディもどちらかと言えば中型に属する大きさで滑らかなスタイルである。まあ、元々が低コストを目標に生産されたソ連製軍用銃なのだが、NORINCO版では、さらに低コスト化を徹底させた感じがする。名前もTT1933から213に。)

<以下、次回に続きます。>

(^0^)皆様、閲覧ありがとうございます!物語は次回から新展開へ! 海外に逃亡している殺人事件の主犯をウイドーが追跡します。お楽しみにw

<DIGITAL GRAPHIC ART 秘宝館>御来場有り難う御座います。写真一覧から他の作品もご覧下さいませ。

 本作に登場する<人名>を始め、施設名などは創作上の当て字であり、実際の人物・団体とは関係ありません。すべてフィクションです。

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